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2026/08/29

精神科に対する考え

 

保険証の束を握りしめ、診察券を財布の奥にしまい込むとき、私たちの胸の奥にはどこか冷たい鉛のようなものが沈みます。

「精神科に通っている」という事実を、誰にも知られたくない。 家族にすら「大げさだ」「気の持ちようだ」と言われるのが怖くて、平気なふりをして仮面をかぶり続ける。

世間は口を揃えて「心の病気も身体の病気と同じです」「早めの受診が大切です」と優しく語ります。けれど、その言葉の裏側には、いまだに「でも、あそこの人は少し変わっている」「腫れ物に触るように接しよう」という、見えない境界線が引かれていることを、私たちは敏感に察知しています。履歴書に傷がつくような気がして、会社に診断書を出す手すら震えてしまいます。

この社会には、目に見えない骨折や、血の出ない内出血に対して、あまりにも不寛容な空気が漂っています。

足を引きずっている人には「どうしたの?」と声をかけるのに、心がすり減って表情を失っている人には「やる気がない」「甘えている」というレッテルを貼る。そうやって「正常」と「異常」の線を引くことで、社会は自分たちの平穏を守ろうとしているのかもしれません。

けれど、思い出してほしいのです。 精神科の扉を叩く人たちは、決して「おかしな人」なんかではありません。むしろ、荒れ狂う嵐の中で、自分の理性や尊厳を必死に守り抜こうと踏み踏んできた、人一倍真面目で、優しい人たちです。

他人の期待に応えすぎたり、理不尽な痛みを一人で抱え込みすぎたりして、心という精巧なガラス細工を粉々に砕いてしまうまで頑張り続けてしまった人たちなのです。

偏見という名の冷たい風がどれほど吹きつけようとも、あなたが心を守るために病院へ通うことは、決して恥ずべきことではありません。むしろ、壊れかけた自分を放置せず、「これ以上傷つかないように生きよう」と決意した、誇り高い生存戦略です。

いつか、心の痛みを打ち明けることが、風邪を引いたときに「喉が痛くて内科に行ってきたんだ」と言うくらい、当たり前に受け止められる世の中になることを願っています。

それまではどうか、世間の勝手な物差しでご自身を測らないでください。 あなたの心の重みは、あなたにしか分からないものです。その痛みを軽んじる声よりも、まずは「今日をどうにか生き延びた自分」の声を、一番近くで大切にしてあげてくださいね。

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